大 洪水 の 前 に
144-151) 「本書のアプローチは近年ドイツで流行している ミヒャエル・ハインリッヒ に代表される『 新しいマルクスの読み方 (neue Marx-Lektüre) 』とは大きく異なっている。というのは、マルクスの実践的・批判的な唯物論的方法で問題となるのは、経済的形態規定と具体的素材的世界の連関とその矛盾についての分析だからだ。 〔…〕 経済的形態規定がその担い手である自然の素材的次元との緊密な関係のもとで考察されなくてはならない。 〔…〕 『素材』の体系的役割が経済的『形態』との関係で正しく理解されるなら、環境破壊とは両者の亀裂から生じる矛盾にほかならないことが直ちに判明し、エコロジーを経済学体系のうちに容易に取り込めるようになる 〔…〕 エコロジーをもってして、経済学批判の体系性をはじめて十全に展開できるという命題の意味が理解可能になるのである。」 『大洪水の前に』, pp. 15-16.
大洪水の前に 書評
kologie in seiner unvollendeten Kritik des Kapitalismus, Campus, 2016、『人新世の「資本論」』(集英社新書、2020年)。 共著に『「資本論」の新しい読み方』(堀之内出版、2013年)、『労働と思想』(同、2015年)等。 監訳にマルクス・ガブリエル、スラヴォイ・ジジェク『神話・狂気・哄笑』(堀之内出版、2015年)。 編著にMarx-Engels-Gesamtausgabe, IV. Abteilung Band 18, De Gruyter, 2019、『未来への大分岐』(集英社新書、2019年)。 2021年1月にはNHK Eテレ「100分de名著」『資本論』の指南役を務めた。 本コーナーに掲載しているプレスリリースは、@pressから提供を受けた企業等のプレスリリースを原文のまま掲載しています。弊社が、掲載している製品やサービスを推奨したり、プレスリリースの内容を保証したりするものではございません。本コーナーに掲載しているプレスリリースに関するお問い合わせは、 まで直接ご連絡ください。
大洪水の前に マルクスと惑星の物質代謝 山本圭
この記事は会員限定です Market Beat 金融政策・市場エディター 大塚節雄 2021年8月8日 12:00 [有料会員限定] 日経の記事利用サービスについて 企業での記事共有や会議資料への転載・複製、注文印刷などをご希望の方は、リンク先をご覧ください。 詳しくはこちら 米金融市場が「マネーの大洪水」に見舞われている。経済政策の支出に伴って政府から民間に年初以降1. 3兆ドル(140兆円)に及ぶ資金が流れ込み、米金利の低下を陰で演出してきた。連邦債務の上限復活で、秋にかけて政府の手元資金はさらに細る。問題はその後。金融緩和の縮小などでマネーの波が引けば、世界の市場を揺さぶる可能性も捨てきれない。 米長期金利の低位での推移が続く。世界的な景気減速への懸念、海外勢の米国... この記事は会員限定です。登録すると続きをお読みいただけます。 残り1595文字 すべての記事が読み放題 有料会員が初回1カ月無料 日経の記事利用サービスについて 企業での記事共有や会議資料への転載・複製、注文印刷などをご希望の方は、リンク先をご覧ください。 詳しくはこちら
大洪水の前に Nyx叢書
kologie in seiner unvollendeten Kritik des Kapitalismus, Campus, 2016、『人新世の「資本論」』(集英社新書、2020年)。 共著に『「資本論」の新しい読み方』(堀之内出版、2013年)、『労働と思想』(同、2015年)等。 監訳にマルクス・ガブリエル、スラヴォイ・ジジェク『神話・狂気・哄笑』(堀之内出版、2015年)。 編著にMarx-Engels-Gesamtausgabe, IV. Abteilung Band 18, De Gruyter, 2019、『未来への大分岐』(集英社新書、2019年)。 2021年1月にはNHK Eテレ「100分de名著」『資本論』の指南役を務めた。 本コーナーに掲載しているプレスリリースは、@Pressから提供を受けた企業等のプレスリリースを原文のまま掲載しています。弊社が、掲載している製品やサービスを推奨したり、プレスリリースの内容を保証したりするものではございません。本コーナーに掲載しているプレスリリースに関するお問い合わせは、 こちら まで直接ご連絡ください。
大洪水の前にーマルクスと惑星の物質代謝
著者プロフィール 斎藤幸平 ( 著/文 ) 1987年生まれ。大阪市立大学経済学研究科准教授。 日本MEGA編集委員会編集委員。 著書にNatur gegen Kapital: Marx' Ökologie in seiner unvollendeten Kritik des Kapitalismus, Campus, 2016 共著に『労働と思想』(堀之内出版、2015年)等。 監訳にマルクス・ガブリエル、スラヴォイ・ジジェク『神話・狂気・哄笑』(堀之内出版、2015年)。 編著にMarx-Engels-Gesamtausgabe, IV. Abteilung Band 18, De Gruyter, 2019. 2018年、ドイッチャー記念賞を受賞。 追記 【イベント】 2020/02/08 イベント「アーティフィッシャル」上映会+斎藤幸平トークイベント」@湘南蔦屋書店 斎藤幸平×パタゴニア 2019/04/28 イベント「わたしたちの「楽園」にむけて――いま気候変動と資本主義社会を考えるということ」@代官山 蔦屋書店 斎藤幸平×星野真志 2019/04/25 イベント「これからの社会を考える想像力――資本主義とエコロジー、私たちの働き方」@梅田 蔦屋書店 酒井隆史×斎藤幸平 上記内容は本書刊行時のものです。
ここで読者はこのように問い詰めずにはいられなくなる。 「母なる自然を壊してまで、なぜそこまでして生産するの? 生きていくには十分なモノが溢れているというのに」 と。 著者は、落ち着いて、冷静に、歴史を振り返る。そのヒントは、 私的労働 にあった。私的労働とは… 他者が具体的に何をどれだけ必要としているかを知らないままに遂行される労働が、「私的労働」とよばれるものなのである。 要するに、「うーん、たぶんトマト100個くらい売れそうだから、100個作っておこう!」という 当てずっぽうの労働を、私的労働と呼ぶ らしい。 現代人の僕からすれば「 それって、別に普通じゃないの? 」と思う。ところが人類の歴史の大部分はそうではなかったらしい。 私的労働に基づいていない社会的分業においては、社会的総労働の配分と社会的総生産物の分配は労働が行われる前にすでに、人々の意思に基づいて-それが専制的、伝統的、民主的な形になるかは時代や地域ごとに様々であるが-決められており、それに応じる形で、個々の具体的労働への配分が調整され、その生産物も分配される。 「おれトマト20個食うわ」「おれは40個ほしいかな」「おれ40個」「おっけー、なら100個作るわ」というのが、かつては普通だったということだと思う。いまでいう 受注生産 の考え方に近いが、 当然こっちの方が無駄がない。 私的労働が主流の社会といえども、人は分業しなければいきていけないため… 労働の配分と生産物の分配は「なんらかの形」で組織され、「経済問題」は解決されなくてはならない(中略)。だがここでほかの社会的生産と比較して決定的に異なるのが、バラバラになった個人によって労働が私的な行為として、つまり社会的総労働の構成部分をなしているという保証なしに行われているという点である。 つまり「 ほんまにこれ、誰か欲しがるの?