タイトル未定4 あっちこっち<狼陛下の花嫁二次小説サイト>
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そういえばまだ李順との話が出ていない。 あの眼鏡、許さない。 さんざん臨時だから手を出すなとか言っていたくせに、 自分は例外か。 もう我慢ならない。 黎翔は目の前にいるのが夕鈴だとしっかり確認すると、 素早く上体を起こした。 そして両手で夕鈴の肩をつかんだ。 夕鈴は飛び上がってしまい、 その拍子で持ってきた茶器をお盆から落としてしまった。 「きゃー!ちょ、陛下、危ないじゃないですか!」 「君の話は聞きたくない」 「え? いや、話とかじゃなくて早く片付け…」 「だれにも渡さない」 「…!」 黎翔は肩に置いていた手を離し、 その手で夕鈴の両頬を包んだ。 見つめると、 夕鈴の丸い目の中に自分が映っているのが分かる。 ――そうだ。君は、私だけ見ていれば良い。 ぐっと引き寄せる。 他のことなど何も考えられないようにしてしまいたい。 どうなってもいい。 全部後で考えればいいんだ。 「夕鈴」 「陛下…?」 ほとんど唇が触れそうなほど近づいて、 そこで突然黎翔は膝に痛みを感じて止まった。 なにかが刺さるような鋭い痛みだ。 下を見ると、寝台に赤い染みが広がっていた。 「きゃー!!陛下、大変! すぐ消毒しないと!」 黎翔はぼんやりとじぶんの膝あたりを見ていた。 これは自分の血だ。 なぜ分かるかというと膝が痛い。 辺りに散らばっているのは茶器のかけらだった。 そういえば最初に夕鈴が茶器を落としたのだ。 そして痛い。 「夕鈴」 「大丈夫ですか陛下! タイトル未定4 あっちこっち<狼陛下の花嫁二次小説サイト>. 待っててください、今とりあえず水持って来るんで!」 蒼白な顔で慌てて出て行こうとする夕鈴の腕をつかんだ。 「いいよ」 「よくないですよ」 夕鈴は黎翔の意図を理解しかね、不満そうだ。 「ねえ夕鈴、 君はだれの奥さん?」 いよいよ訳が分からず、夕鈴は落ち着かない様子で答えた。 早く消毒しないと、傷口から化膿するかもしれないのに、 なにをこの人はのんびりしているのだろう。 「…? 陛下ですよ?臨時ですけど。 だからこそ心配して急いで手当てしようとしているんじゃないですか。 変なこと聞いてないでおとなしく待っててください!」 「そっか」 黎翔は満足したようにうなずいて、 夕鈴の手を離した。 夕鈴は結局何がなんだか分からないが、 今はそれを追及している場合ではない。 出血はまだ止まっていないのだ。意外と深いのかもしれない。 「李順さんと老師呼んできますから、動かないでくださいね!」 なんだこれは夢じゃない。 夢じゃないなら、 茶器に感謝しなくては。 「危なかった」 スポンサーサイト
翡翠の煌めき、瑠璃の夢 未来は何処に・・・特典
今までの君は、この狼陛下(わたし)の命令にすら、一度としてそう簡単に頷きはしなかったのに。どうして?」 「……これまでの私は、陛下の寵妃という役どころの意味するものも、政治的な駆け引きも。何も判っていない、短慮で愚かな小娘でした。無知だったということもありますが、それは言い訳にはなりません。今まで重ねてきた数々の不届き、何とぞお赦しください」 「――夕鈴? 君は一体なにを言って、」 このバイトを始めて少し経った頃に、口論めいた些細ないさかいの末に狼陛下から鼻先を咬まれ、矢も盾もなく氾紅珠の私邸に転がり込んだことがあった。あのときは、自分がどれほど王宮における勢力図に影響を及ぼす存在なのか、まったく理解していなかった。だからこそできた暴挙だと、あれから一年近く経った今は、当時の己の出過ぎた真似を甚だ苦々しく思う。 結果的にその場は丸く収まったから良かったものの、いっときの個人的な感情の暴走で王宮内を無用な不安と混乱の渦に陥れ、不用意な政権争いを勃発させる引き金を引きかけた事実は、夕鈴を大いに打ちのめした。 乙女の純情? 狼陛下に恋する偽妃の思慕?
自分の為すべき事とは何であるのか・・・・・それをボンヤリと考えていた。 そして、驚愕の事実が付きつけられた。 夕鈴殿のところに遣わせた浩大に因って。 「汀 夕鈴嬢、いやお妃様は・・・・陛下の御子をご懐妊なさっているご様子です」 えっ??? 今何と、言いました?? 夕鈴殿が陛下の子を身籠った?? まさかの報告に驚きの声しか出なかった。 「何ですって!! !」 と・・・・・・・・。 続。 スポンサーサイト